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オタクです

テニプリキャラの好きな本で読書会を主催してみた

こんにちは、ジェシーです。

 

皆さん読書会って参加したことありますか?

なんだそれという人のためにざっくり説明すると、皆で集まって読書関係の交流をしましょうよという会のことです。ただその形式は様々で、それぞれ自分の好きな本を持ち寄ってそれについて語り合う会もあれば、課題本を読んだ上で話をする会、テーマに沿った本を持ち寄る会なんかもあります。

 

前は私もちょこちょこ参加していたのですが、コロナになってから通っていた読書会が完全オンライン化し、参加できなくなってしまいました。参加したらいいじゃんと思われるかもしれませんが、私にはオンラインで初対面の人と会話する力が欠如していますし、画面に映った自分のツラを長時間おがむ胆力もありません。あまりにもハードルが高すぎます。

 

でも読書会はしたい。本のことを語り合いたい。

そこで思い至ったんです。

 

ひとりでやればいいんじゃんって。

 

またかよと思われるかもしれないけど、だって東京に友達がいねーんだもんよ!!!!おい!!ならお前らが私と遊んでくれんのかよ!!?!?遊んでくれねーだろうが!!!!

というわけで、前々からやってみたかった読書会を開催することにしました。

その名も、テニプリキャラの好きな本読書会!

 

こちらの読書会は、毎回課題本が設定される形式です。ファンブックに記載されているキャラの好きな本から、主催者(私)が1冊本を指定するので、会員(私)はそれを読んだ上で参加することになります。この読書会の目的は、キャラの好きな本を通じて、皆(私)でそのキャラについて考え、解釈を深めていくことです。

 

というわけで、先日第1回目の読書会が無事開催されましたので(脳内で)、その様子をお見せいたしますね!

 

第1回目の課題本はこちら!

『夜間飛行』サン=テグジュペリ 新潮社

こちらは新テニ23.5巻で更新された幸村くんの好きな本です。

 

それではどうぞ。

 

読書会スタート

 

ジェシー「本日はお集まりいただきありがとうございます。それでは読書会を開催いたします!」

 

パチパチパチ(拍手)

 

ジェシー「今日は記念すべき第1回目ということで、皆さん初対面ですので自己紹介からお願いしたいです。まず私から。この会の主催をしています、好きな男は白石蔵ノ介です。よろしくおねがいします!じゃあ時計回りに、お願いします」

 

那々緒「こんにちは!氷帝学園3Aで、テニス部の女マネをやってます。委員会は報道委員です!」

 

たっちゃん「はじめまして、たっちゃんです。千石清純の幸せを願う腐女子です。今日はよろしくおねがいします」

 

サイトウ「皆さんはじめまして。立海大附属出身、柳蓮二の女仕草が得意なサイトウと申します。よろしくお願い致します」

 

EMIKO「EMIKOっていいます!赤也が好きです!」 

 

ジェシー「なるほど、皆さん色々な思い込みがあって良いですね!自己紹介ありがとうございました」

 

パチパチパチ(拍手)

 

ジェシー「ちなみにメタ発言になりますがこれらは全て私の過去のハンドルネームであり、当時の性格を反映しています。読み終わったのち皆さんは記憶を焼き切っていただけますと幸いです。」

 

ジェシー「…えー、では始めてまいりましょう。第1回目の課題本は、幸村精市さんの好きな本『夜間飛行』を設定いたしました。正直なところ、みんなジャンルや作者名で答えていたりして…幸村くんのようにはっきりタイトルまで答えてる人が少なかったので選んだ次第です」

 

サイトウ「集英社から出てるファンブックには、なかなか他社の書籍タイトルを載せるのは難しいですよね。」

 

ジェシー「今後曖昧にぼかされているものや、大きくジャンルで回答しているものは、こちらで1冊書籍を選んで課題本として設定していく予定です。」

 

那々緒「跡部様だったらシェイクスピアの戯曲とかトールキンの著作って書いてあるから、その中から1冊選ぶって感じかな?」

 

サイトウ「柳さんだったら、夏目漱石泉鏡花川端康成の中から1冊指定という感じでしょうか」

 

ジェシー「そうなりますね。では、これから読書をした感想や、幸村くんについて思ったことなどあれば話していただきたいのですが、一つだけルールがあります。」

 

たっちゃん「ルール?」

 

ジェシー「それは、相手の感想を否定しないことです。人の数だけ意見があります。特にこの読書会は、キャラの好きな本を通じて、皆でそのキャラについて考え、解釈を深めていくことを目的としています。は~解釈違いだわなどと切り捨てず、キャラを深く知るための手立てとして受け止めてください」

 

EMIKO「え、じゃあ意見とかも言えなくない?」

 

ジェシー「その部分は私はこう解釈しました~みたいな言い方であれば大丈夫ですよ!それは違うでしょみたいな言い方はやめてねってことで」

 

EMIKO「了解っす!」

 

ジェシー「ではまず私から簡単に感想を。えっと、私はサンテグシュペリってベタに星の王子さましか読んだことなかったので、夜間飛行も同じ方向性のロマンチックな物語だろうと勘違いしてたんですよね。でも思いの外リアリティのある作品で驚きました。ところどころ挟まれる情景描写の美しさなんかは共通してるんですけど」

 

たっちゃん「あ~私も星の王子さまと混じって、今回読むまでずっと星間飛行だと思ってました~」

 

ジェシー「オタクあるあるですよね~。でもそんなこと考えてたのが幸村くんに申し訳ないくらいの作品で…。主人公のリヴィエールの信念は、当時の立海のあり方にすごく通じるものがあるなと感じて、読んでる間ずっと立海のことを考えてしまいましたね…」

 

サイトウ「あっそれについては私もそうだったので、ぜひ皆さんの意見が聞きたいです…!」

 

ジェシー「では、順番に感想など聞きながら話し合って行きましょう、次、那々緒さんお願いしていいですか?」

 

那々緒「はーい、えっとジェシーさんもリアリティって言ってたんですけど、飛行機に乗っている時の描写がとにかく臨場感があって、読んである間ちゃんと地に足がついてるかなってソワソワしちゃいました」

 

EMIKO「たしかに嵐にあったとことかすごく怖かった~目の前に映像が見えるようだったってゆうか」

 

那々緒「幸村がこの作品を好きって前提で読んだからだと思うんですけど、あたしは幸村はリヴィエールに共感しながら読んでたのかなあって思いました。リーダーとして立海を引っ張っていくためには厳しくしないといけないみたいな。そんな感じです!」

 

たっちゃん「…なるほどです~」

 

ジェシー「じゃあ次たっちゃんさんお願いできますか?」

 

たっちゃん「私がこの物語で特に印象に残ってるのは、冒頭の光の情景描写の美しさと、ファビアンが嵐に巻き込まれてからの闇の中の描写の恐ろしさです。美しいパタゴニアの風景を見せつけられたからこそ、より一層何も見えない嵐に恐怖を感じたというか…コントラストの効果を強く感じましたね」

 

サイトウ「ああなるほどそこは特に意識してなかったですね…対比構造なのかな…」

 

たっちゃん「あの、それで…幸村さまについてなんですけど、私の中で幸村さまって長年魔王だったんですよ…」

 

EMIKO「あたしも~!ユッキーは魔王!」

 

ジェシー「(で、出た~~二次創作のあるあるノリだ~!)そうなんですね~…」

 

たっちゃん「厳しくて強くてパワーSで…でもなんか、夜間飛行を読んでからキャラソンを聞き直したりプロフィールを読み直したりしてたんですけど、本来の幸村さまってめっちゃ穏やかな人なのではと思い始めて…」

 

サイトウ「許斐先生もテニス以外では穏やかな人だよって言ってましたもんね」

 

たっちゃん「ルノワールが好きだったり植物を育てるのが好きだったり、幸村さまって暖かで鮮やかな光の世界に住んでる人だったんじゃないかって思い直すと、パタゴニアの光景ってまさに幸村さまの好むものかもしれないって感じたんです」

 

サイトウ「特に冒頭文は光が象徴的ですよね。ルノワールも光と色彩の画家と呼ばれているし…」

 

たっちゃん「そこから闇でもがくファビアンの姿が、私にはどうも…幸村さまが病気になってもがいている姿と重なってしまって…私が今まで見てきた幸村さまは本来の幸村さまの姿じゃなくて、もがいていた頃の幸村さまだったのかもしれない…本来、幸村さまは暖かな光の世界に生きる人だったのに…」

 

ジェシー「………」

 

サイトウ「……………」

 

EMIKO「あの~…今ので思い出したんですけど、40.5巻にユッキーの作文載ってたじゃないですか~…」

 

サイトウ「(スッ)持ってきてますよ。引用しましょうか」

 

「生きるを見つめた8ヶ月」 幸村精市

わけのわからない不安に押しつぶされそうになった夜が、幾度もありました。何で僕なんだろう。何で僕は今、ここにいるんだろう。耳をついて離れない、あの無慈悲な病の宣告。僕からテニスを取ったら、もう何も残らない。どんなに明るくても空は暗く、僕にとって未来という言葉は絶望と同じでした。けれどそんな時、友が言ったのです。「お前と俺との約束だ」と。

40.5巻より

 

たっちゃん「ゆ、幸村さま……」

 

ジェシー「…”不安に押しつぶされそうになった夜”、”どんなに明るくても空は暗く”かあ…幸村くんの世界が暗くなってることを現してるようですね…」

 

たっちゃん「……なので…、私はどっちかというと幸村さまはファビアンへの共感のほうが強いかなって思ったんです、スミマセン那々緒さんとは意見が違うのですが…」

 

那々緒「いえ…。しんみりしちゃいました…」

 

ジェシー「じゃあ、次サイトウさんお願いしていいですか?」

 

サイトウ「はい、私がこの作品の面白いと思ったポイントは時間の明示法です。たった一晩の出来事ながら、非常に密度が濃いんですよね。三機の飛行機がブエノスアイレスに向かう中、時間を追ってリヴィエールの心情が丁寧に描かれることで、より読者に臨場感を与えているように感じました。特に彼の心情の揺れ動きには注目したいところです」

 

ジェシー「と、言うと?」

 

サイトウ「リヴィエールの態度は非常に厳しいものです。ですが、それは飛行機事故を防ぐため、部下の命を背負うものとしての責任がそうさせている。私はここに真田を感じたんですよね…。これから光文社古典新訳のほうの『夜間飛行』におけるの訳を引用したいのですが、以下はリヴィエール飛行機を待つ際の心境です」

 

どこかの空で郵便機が闘っている。病と闘うように夜間飛行がつづいている。だから夜を徹してつき添ってやらなければならない。

 

サイトウ「真田は、さっき引用された幸村くんの作文にもありましたけど、約束のため、3連覇のために立海を鉄の掟で厳しく律し、幸村くんを待っていたじゃないですか。それが暗闇をもがく幸村くんにとってどれだけ心の支えになったんでしょう。幸村くんがこの下りを読んだとき、リヴィエールに何を感じたでしょう。私は、真田を思い出したんじゃないかと考えました」

 

那々緒「でも、全国立海の時の幸村くんも相当厳しかったと思うんですよ、動きが悪すぎるよとか言ってるし、テニスでは厳しい人じゃないですか。やっぱり真田じゃなくてリヴィエール=幸村じゃないかなあ」

 

ジェシー「あくまで幸村くんの好きな本という設定ですし、立海はこの物語を踏襲しています!っていう設定ではないから、はっきりとイコールで結ぶのは難しいんじゃないかなぁと私は思います。現に私は『夜間飛行』に出てくるリヴィエールに共感するところもありましたし、身近な人を思い起こしたりもしました。そして、そうした部分を含めてこの作品を好きだと感じています。だから、サイトウさんや那々緒さん、たっちゃんさんの意見が違うというよりは、幸村くんを通して作品を見た時の角度が違うってことじゃないでしょうか」

 

たっちゃん「私はファビアンに共感したんじゃないかって考えたけど、要するに、幸村さまはファビアンやリヴィエールに共感もするし、真田を思い出したりもするし、そういうのを含めて幸村さまの心を動かしたんじゃないかってことかな?」

 

ジェシー「じゃないかなって私は皆さんの感想を聞いていて思いました。最初私はなんとなーく厳しさで縛られてる郵便会社のあり方が立海っぽいな~って感じただけだったんですが」

 

EMIKO「じゃあ最後あたし良いですか?まず最初に言いたいんですけど、ぶっちゃけ何言ってるかわかんないとこいっぱいありました。あとそもそも郵便配達って命かけることですか?リヴィエールがそのことなんかごちゃごちゃ考えてたけど意味不明でした」

 

サイトウ「えーっと…たしかにごちゃごちゃと考えてるといえばそうなのかな。個人的幸福と永遠性についてですよね」

 

EMIKO「その言い回しからして意味不明なんすけど…」

 

サイトウ「えっと、リヴィエールが何度か体調悪いなあとか老いたなあとか考えるシーンあったじゃないですか。リヴィエールは仕事ために自分の人生のあらゆる個人的幸福を押しのけて生きてきたんですよね、そうして残るものってなんだろうって悩んだり、パイロットやその妻たちの個人的幸福を奪ってまでこの仕事は意味のあるものなんだろうかって悩んだりして、でもそうした幸福って、死ねば終わりなわけで」

 

EMIKO「はあ」

 

サイトウ「今日安全に夜間飛行ができているのは、郵便飛行で命をかけてきた先人たちのおかげですよね。リヴィエールは、死ねば消えてしまう個人的幸福よりも、未来へ残る永遠性ある行為を求めたってことじゃないでしょうか?」

 

EMIKO「じゃあ今のところ私って死んだら何も残んないのかな…はあ~~。あと、皆はわりと好意的だったけど、はっきり言ってリヴィエールまじで厳しすぎません?もう一番そこが印象的っていうか、こんな上司いたらまじでやばいでしょって思っちゃって」

 

那々緒「たしかに現代の普通の会社にいたらやばいし訴えられると思うよ」

 

EMIKO「特に引いたのが、監督がパイロットと仲良くしてたのを罰したところ、まじやばいと思いました。仲良くしてただけなのに理不尽すぎる」

 

ジェシー「でもリヴィエールはパイロットの命を預かっているから責任があるんですよ」

 

サイトウ「馴れ合いから仕事に緩みや綻びが出たらとたんに死に繋がりますもんね」

 

EMIKO「馴れ合い…」

 

サイトウ「あと、それをパイロットもちゃんと分かってると思いますよ、p70

リヴィエールとその配下の操縦士たちは、心の奥で人知れぬ友情に結ばれていた。結局彼らはすべて、同舟の輩であり、打勝とうとする同じ欲望に燃える人たちだった。

 ってくだりにもそれが出てると思います。リヴィエールとパイロットは掟を心で共有してるんじゃないでしょうか」

 

EMIKO「馴れ合いじゃなく…?」

 

那々緒「…!独りでもなくて…?」

 

たっちゃん「厳しさを…?」

 

ジェシー「共有することを…!?」

 

サイトウ「方法論としてきた……!?!?」

 

全員「「「!!??!?!?!?!」」」

 

ジェシー「つまりリヴィエールとパイロットは立海ヤング漢だった…?」

 

那々緒「改めて豪華絢爛の歌詞を読むともうそれにしか思えなくなってきた」

 

サイトウ「欧州便パイロットっぽいさもありますよね…」

 

たっちゃん「いや~あの欧州便のパイロットめちゃくちゃカッコいいですよね…っていうか改めてこの歌詞、大天才すぎでは…?」

 

ジェシー「ぜったい鳥海雄介さんな気がするあの人がいなければ白石くんアルバムはありえなかった…ぜったいそう…この天才な歌詞は…」

 

那々緒「アッ!やっぱり鳥海さんだ!!」

 

ジェシー「ホラ~~!この方に夏のボーナスを5億円あげてほしい!!!異論ある!?」

 

全員「「「異論 異論 異論はないだろ~~~~!?!?!?↑↑」」」

 

サイトウ「本当なら通信がとぎれていくシーンの物悲しさとか、リヴィエールの悲しい背中について語るつもりだったけど、なんか全部ふっとんでしまった…」

 

那々緒「今もう頭には豪華絢爛しか流れてないし、ファビアンが乗った飛行機は太陽が燃えてるあの向こうへ飛んでいって勝利したっていう結論で良い気がしてきました!」

 

EMIKO「ファビアンはどこまでも上昇するための方程式を見つけちゃったんだね…」

 

ジェシー「作品の情緒を全部ぶっ壊してないか死ぬほど不安なんですけど…読書会のオチがこれって、あってます…?」

 

たっちゃん「正解はどこにもないさ~全然~」

 

那々緒「これは頭の中の世界~~」

 

全員「「「いつも独りさ DANCING BE MYSELF~~~」」」

 

おわり